そもそも「コスチュームジュエリー」って? シャネルから始まり、女性に不可欠なジュエリーになるまで。

コスチュームジュエリーとは、宝石や貴金属を使わずに、ラインストーンやイミテーションパールなどを使って作られたジュエリーのことをいいます。
そう聞くと、「偽物ってことかぁ」と思ってしまう人もいるかもしれません…。

ですが、コスチュームジュエリーは、華麗な歴史と深い魅力を持つ、現代の女性に不可欠なジュエリー。

今回は、ヴィンテージの世界でも重要な立ち位置であり、女性の自由の強い味方となった、「コスチュームジュエリー」についてお話したいと思います。

 

目次

  1. 「コスチュームジュエリー」と「ファインジュエリー」の違いって?
  2. はじまりは、あの「シャネル」から!
  3. 戦後アメリカで、全盛期を迎えるコスチュームジュエリー
  4. ヴィンテージコスチュームジュエリーの品質・素材
  5. コスチュームジュエリーの現在

 

「コスチュームジュエリー」と「ファインジュエリー」の違いって?

 

ファイン・ジュエリーとは、装身具の中で、素材を貴金属と宝石に限定したもの。もともとは、ジュエリーといえば、ファイン・ジュエリーをさしました。一般的に、宝石のクオリティや、希少性・時価によって価値が変動します。

一方、コスチュームジュエリーは、素材を限定せず、制約がありません。

ファインジュエリーと違い、デザインに自由がきき、舞台上では実物よりも華やかに輝くということから、「コスチュームジュエリー」と呼ぶことになった…という説も。

コスチュームジュエリーの歴史は、この100年ほどです。

 

それ以前は、多くの女性にとって、ジュエリーは、自由に手に入れることができませんでした。
かつてジュエリーは、富と財産の象徴であり、一部の選ばれた富裕層の女性だけが所有できるものでした。

一般の女性が自由にジュエリーを楽しめるようになったのは、実はほんの最近のことと言われています。

それが、女性の社会進出と、かの歴史的デザイナー、「ココ・シャネル」の登場によって、大きく変わることになります。

 

「何カラットの宝石を身に着けるかが問題なのではなく、大切なのは洋服にいかにマッチしたジュエリーをつけるかということ。」(ココ・シャネル)

ココ・シャネルは、ジュエリーを男性から贈られるものとしてだけではなく、女性が自分で自立して選び、ファッションにあわせて楽しむアイテムとして発信しました。

はじまりは、あの「シャネル」から

 


2018年シャネル春夏コレクションショー

 

2018年現在においても、絶大な支持を受けているブランド・シャネル。

オートチュクール(洋服)、化粧品、香水、ジュエリー…と、多彩な展開をしている、世界的ブランドで知られていますが、フランス出身の細身のデザイナー、ココ・シャネル。

孤児院で育った彼女が、帽子の店としてパリの街角でショップを始めたのは、1910年、彼女が27歳の時でした。

 


初期のシャネルの帽子をかぶった、フランスの女優Gabrielle Dorziat。

 


1916年、彼女はファッションの世界で大成功をおさめます。
それまで男性用衣服にしか使われていなかったジャージ素材を使用した、画期的なドレススタイルは、大変な話題となります。第一次世界大戦のころです。

女性が活動的になろうとした時代、彼女の作る、動きやすく洗練された洋服は画期的でした。


男性優位社会からの「自由」「解放」と解放。

シャネルの女性の自立を打ち出したスタイルは、時代とマッチし、一大センセーションを巻き起こします。シャネルが髪を切ると、女性が髪を切ると言われたほどでした。

「 私の人生は楽しくなかった。だから、私は自分の人生を創り上げたのよ」(ココ・シャネル)

1921年には、その後、彼女がデザイナーを引退していた時代も、その資金面を支えることになる、歴史的香水ー「NO.5」と「NO.22」を発表します。

そのココ・シャネルが、初めてコスチュームジュエリーを発表したのは、1920年代。

今から、約100年前のことでした。

 

戦後アメリカで、全盛期を迎えるコスチュームジュエリー

 

コスチュームジュエリーの発展の本場は、アメリカでした。

1950年代、アメリカのメーカートリファリのカラー広告

 

ヨーロッパでは歴史的に、まだまだファインジュエリーこそジュエリーとされていたこともあり、良い労働条件を求め、ヨーロッパから、職人が数多くアメリカへ流出。

女性の社会進出、アメリカの戦後の発展、ハリウッド映画やテレビの盛り上がりなど、たくさんの条件が重なり、アメリカで数々のコスチュームジュエリーメーカーが人気となっていきます。

シャネルのライバルであり、当時アメリカにおいて、シャネルより人気があったスキャパレリ。
そしてクリスチャン・ディオール…。

アメリカ発のブランドとしては、圧巻だったミリアム・ハスケル。「アクセサリーといえばトリファリ」といわれたトリファリ。
ほかに、ワイス、コロ、リスナー、ヴァンドーム、モネなど、名だたるメーカーが、アメリカの戦後の発展とともに、爆発的に人気となっていきました。

 

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たくさんのハリウッドスター女優や、当時の大統領夫人などのセレブリティが着用したこともあり、その人気は、全米に広がっていきます。



ハスケルを身につけた大女優ジョーン・クロフォード

 

ファインジュエリーを楽しむことのできたセレブリティたち。
なぜコスチュームジュエリーを求めたのでしょうか。

それは、ファインジュエリーでは作ることのできない、大胆でボリューム感のあるデザインにありました。
本物の宝石では、高価になりすぎて作れないボリューム…そして、斬新で、攻めた、これまでには見られなかったデザイン。
メーカーたちこだわりのクオリティも、彼女たちの心をつかみました。

全米で放送された大統領就任式で、アイゼンハワー大統領夫人は「トリファリ」のパール調ネックレスを着用。

ケネディ大統領夫人で、ジャッキーの愛称で国民的に親しまれたジャクリーン・ケネディもまた、コスチュームジュエリーを愛用したことで知られています。

大統領夫人として活動的に公務を行わなければならなかった彼女たちにとって、どこにでも身軽に持っていくことのできるコスチュームジュエリーは、強い味方でした。

今、イギリスのキャサリン妃のファッションが世界的に注目されるように、大統領夫人のファッションスタイルは、当時、一般女性たちにとってお手本となりました。女優たちのスタイルも当然、憧れとなっていきます。


テレビや雑誌には、当初は白黒の、その後はカラーの広告が踊り、女性たちは自分のジュエリーボックスに、新しいアイテムを迎えるのを楽しむようになります。

 

当時販売されたヴィンテージ・コスチュームジュエリーの中には、現在、コレクターアイテムとして高く評価され、数十万円という価格で取引されているものもあるほどです。


ジャクリーン・ケネディの愛用したコスチュームジュエリーは、彼女の死後、ササビーズのオークションにかけられ、大変な高値がつきました。

 

 

ヴィンテージコスチュームジュエリーの品質・素材

 

「素材にこだわらず、イミテーションを使う」というと、低い品質のものを思い浮かべてしまいがちですが、必ずしもそのようなことはありませんでした。


「フェイク」といっても、パールパーツ、ラインストーン、金メッキ技術には、それぞれのメーカーに、強いこだわりがありました。

メーカーやブランドによって、当時、販売価格帯や対象とする顧客層が違いますので、一概には言えませんが、多くのメーカーが高品質だっことで知られています。

「トリファリ」のガラスパールは層が厚く、丈夫さと美しさで有名でした。

1950年代ごろに多く作られたパール調のジュエリーは、現在も高い人気ですが、多くが非常に美品で残っているのはそのためです。トリファリは地厚の美しいメッキ技術にも定評がありました。

洗練された独特の見た目をしているので、金メッキを見ると、刻印を見ずともトリファリとわかるほどです。


「Tapoli」で取り扱い中の1950年代トリファリ・パール調ブローチたち

 

「ミリアム・ハスケル」はすべてのアイテムを、職人の手作業で作っていました。


代名詞であるバロック・パールは日本製。
当時「東洋のブレンド」といわれた日本製のフェイクパール。
大変高品質で、現在、ミリアム・ハスケルのデッドストック品として販売され、世界中のハンドメイド作家の創造の源となっています。

ハスケルの特徴的なバロックパールヴィンテージイヤリング

 

「スワロフスキー」で知られるオーストリアや、ボヘミアガラスで有名なチェコのガラス技術もまた、コスチュームジュエリーの発展には欠かせませんでした。オーストリアのラインストーンは非常に高品質で、多くのメーカーに大切に使われていました。


また、オーストリアはアメリカ向けに、当時コスチュームジュエリーを作り輸出しており、中でもフルーツをモチーフにしたものは、現在大変人気。世界的に、高値で取引されています。

 

「フロレンザ」や「ヴァン・デル」に至っては、本物の象牙や、パールを使用してアイテムを作ることもありました。

フロレンザのカメオブローチは、本物の貝を手彫りで制作したものです。
そのぶん、他のメーカーに比べると小ロットで制作していたと思われ、ヴィンテージアイテムは貴重です。


「Tapoli」で取り扱い中のフロレンザとヴァンデルブローチ

 

コスチュームジュエリーの現在

 

1980年代以降、中国で製造するむきが主流になり、それまであったコスチュームジュエリーの個性の多様性に危機が訪れます。

そのため、ヴィンテージブローチなどにおいては、1980年代は大きな節目だったように思われます。

ですが、今でもシャネルを筆頭に、多くのブランドが野心的な作品を生み出しています。

ブライダルジュエリーにおいては、今もミリアム・ハスケルは圧倒的人気!



日本においては、国産ブランド「フォクシー」のパール調ネックレスなどが、定番の人気アイテムとして広く知られています。

また、野心的な新ブランドが、様々なユニークなデザインのアイテムを、数多く世に送り出しています。


ハンドメイドアクセサリーブームに伴い、独創的な作家さんも数多く現れていますので、今後国産ブランドにも注目です。

 

いかがでしたか?

 

今回は、コスチュームジュエリーについてお話をさせていただきました。

現代を生きる女性にとって強い味方であるコスチュームジュエリー。
シーンに合わせて賢く選びたいですね!

 

当ブログメディア「ミライヴィンテージ」が運営するセレクトショップ「Tapoli」では、貴重なヴィンテージコスチュームジュエリーを販売中です。

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